ネット世論とリアルの乖離(第二章)ウイグル国会決議の混乱による「公明党が反対した」という“嘘”(中編)「実態としては都議選の影響」実は、自民党は明確に意思表示をしていた。

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冒頭で述べておきますが、私は公明党が好きではありません。自民右派系としては、掲げている政策が対峙することも多い。これは一般論だと考えていますし、その意味では好きではありません。
ただし、本件国会決議において「公明党が反対した」というのは明示的な事実はないことを、地方議員として証言します。いまこれを述べる必要があるのは、政調会長が“参院決議”に言及する中で、保守層に対しても知識として共有して頂かねばならないからです。「あの時は反対した癖に!」という論調になれば、参院決議を推進する上での阻害要件となるでしょう。

決して推進側ではなかったし、足を引っ張るように感じたこともあります。かと言って反対したと断じるだけの状況までは至っていないことは繰り返し述べさせて頂きます。我々が有する唯一の事例は、広島県議会の議会運営委員会のみであり、これは公明党の党組織と同一視しうる県議会派選出の議運の委員が、各党と調整を進めてきた意見書に議運の場で×をつけたことで上程できなくなったという一件のみです。個々の議会において公明党区議の全員が着席した例もありますが、それは議員個々人の判断だと逃げられればそれまでで、“党としての反対”とは言い切れません。逆に行橋市の公明党市議は、公明党福岡県連の了解をとってきて賛成しています。公明党が特に強いとされる大阪府では、公明党も含めての府議会全会一致で、私ども地方議員の会が発した意見書が採択されています。国政同様に都道府県でも全会一致のルールがありますが、地方のほうが楽というわけではなく、令和4年5月の時点で我々が把握するだけでも98本の意見書が採択されています。(私が幹事長を務めるウイグルを応援する全国地方議員の会において把握しているだけで、令和4年10月時点では100自治体議会を突破しています。)
私たちの知る、当時の政治状況を一つ一つ述べます。

では、なぜ決議は混乱状態に陥ったのか。また本稿においては、(少なくとも政治的には)林代行の責任を問うことはできないという結論に至っております。個人としての意思で党組織を歪めたのならば批判されるべきですが、本当の答えは東京都議選に忖度し過ぎた結果だと判定せざるを得ず、いずれにせよ「一方的に公明党が悪い」と断じることができる状況にはなかったと感じています。

そもそも公明党の議席数で、自民党側が強い意思を持っているときに歪めるだけの政治力は有していないはずだ、にも関わらずなぜこのようなことが生じてしまったのか。情報がない!と思うかもしれませんが、実は自民党側からは明確な意思表示もされていたのです。そのことも含めて論評していきます。

 

 

ネット世論とリアルの乖離
(前文)~誰もが発信できる世界で、起きてしまった双方の悲劇

(第一章)ジェノサイド認定の誇大発信と現場混乱
(前編)ジェノサイド認定の誇大発信と現場混乱「気づかぬままメディアに釣られた。」
(中編)「最悪の場合は、崩御した昭和天皇を南京で裁こうとしてくる危険性すらある」
(後編)生じた弊害、有力議員の協力が得られない。

ネット世論とリアルの乖離(第二章)ウイグル国会決議の混乱による「公明党が反対した」という“嘘”
(前編)煽るネットメディア、公明批判は『売れる』現実。

 

 

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都議選の影響
 ウイグル国会決議が話題を呼ぶちょうど4年前、都議会では都民ファが躍進しました。都ファの大躍進により都連会長はじめ役員が引責する形で辞任しました。ウイグルの衆院決議の四年前のことです。都連の役職を辞することになった会長らは国会議員です。
無関係に思う方もいるかもしれませんが、都議選の影響は極めて大きな要因と見るべきです。私たちに譲りがたいものがあるように、個々の政治家においても優先順位というものがあり、それはそれぞれ異なるのです。東京選挙区は、人口比の問題から“国会議員の議席数も膨大なもの”であり、党としても軽視されるものではありません。(都ファ大躍進の結果として責任をとった)自民党の国会議員が、一方的に公明党の忖度して取り下げたのが実態であろうと、地方議員の会は当時からその可能性について指摘してきました。
ネットでは様々な議論、具体的には“公明犯人説”が喧伝されましたが、地方議員はこの動きに同調しておりません。また、都議選との関係を指摘した分析は著述業の○○先生や大手保守媒体では○○さんも当時から知っている内容であり、当時の産経新聞も含む保守媒体、特にネット保守メディアでは本件に関しては誤まっていたと思います。私たちは現場からの内々の声として、しっかりと上げています。そもそも都議選の応援には、筆者(小坪)自身も入っておりますし、応援した候補は自民党都議団の現・政調会長である小松氏であり、私の後援会の名刺(一応、役員)もあります。私と木原先生はもともと同じ九州のため仲がよく、出陣式に相互に駆け付けあうみたいな10年を過ごしており、木原先生とは一緒に小松都議の応援に入り、動員もしておりましたし、その場で私もマイクを握っています。台湾の決議の調整方法なども詳細に伺いましたが、ここは機微に触れるので書けません。ただ、同じ時期の二つの国会決議で何があったのかの差異は明確に把握しています。

 さて都議選ですが、さらに4年前には内田茂都議などをはじめ重鎮が落選しまくり議会では自民党は第一党ではなくなりました。責任をとって東京都選出の国会議員は、都連会長などの役を辞する事態となりました。さぁ4年後がきた!と力を入れている段階であり、とくに東京選挙区は大量の国会議員を人口比で輩出しておりますから、多数の国会議員らが(自らの身を案じてという意味もあるのでしょうが)ヒヤヒヤしていた時期です。ウイグル問題を心配する人は国会決議だけを見てしまいがちですが、政治とは全体を見渡す必要があります。そして、このタイミングにおいては、国会決議という保守のみが注目した局所的な議論よりも、政治全体としては都議選が注目されていたことはまごうことなき現実です。
東京の衆院選は、ほぼ経験はありませんが他の道府県と比較すると少し変わった方式だと思います。都議や区議らが中心というか、国会議員の後援会組織自体を他県に比較してあまり感じませんでした。特別区によってはかなりの部分がオートロックであり、駅前に立ったとしても誰が有権者(一票を持っているか)が判別できず、まるで山に向かって吠えるような方法しか戦いようがないからです。それに選挙にも関心が薄い。
 よって、都議たちを当選させなければ、東京選出の国会議員の未来はないのです。ある意味では毎回、風頼みみたいな選挙を強いられるのが東京選挙区だと、少なくとも私は考えています。

 ここで公明党側の、とくに参院での調整がなされぬまま突っ込んだため、「公明党(創価学会)からの援護が薄くなるのでは?」と都議選の影響を、自民党側が勝手に忖度して止めたというのが当時の想定でした。ほぼほぼ間違いないと思っています。例えば三民族問題でトップを務めている下村博文先生は、私は保守系の地方議員として尊敬しておりますけれども、4年前に都連会長を降りることになったのは下村先生です。当時、ネットでは『下村先生が止めているのでは?』という投稿が頻発した時期もあり、これは水面下では民間活動家も同じことを言ってまわっていたのですが(地方議員の会は乗っていない)のち、政調会長として取りまとめ、決議に賛成の立場を強く表明するに至っております。自身はブレーキをかけていないというスタンスを示されております。私は下村先生を信じておりますが、ネットは信じませんで、このあたりの事実関係はやぶの中とはいえ、だんだんとウイグル問題を持ちこもうとする民間人にアレルギー反応を示す事務所も増えてきた時期でした。勝手なエピソードを創作されて、鬼のように叩かれるような構図の、その発端でもありました。そもそもやらなければ、何も言われませんから。

 

 

 

林代行の責任は問えない。
 林代行がペンを取り上げたこと、それは事実だろうと言われています。私はその場におりませんでしたから証言することはできませんが、ペンを取り上げたという部分を否定するつもりもありません。
けれども、その理由や背景については議論したいと思います。それは林代行が親中派だからなのではなく、これら都議選を心から心配している東京選挙区の国会議員らの声を受けてのものと推察すべきであり、幹事長代行として責任を問うことは誤まっています。地方議員ではありますが、一人の政治家として、一般論としても客観論としても誤まっていると明確に述べます。
 個人的なイデオロギーで潰したのであれば大問題でしょうが、幹事長とは党を取りまとめる立場であり、党内の様々な国会議員の声を受けて執行部を運営するものです。端的に言えば「組織を代表する立場としての権限行使や判断」であれば、責任を当ことは難しいということです。逆に「(組織としての判断ではなく)個人の私情を理由に判断を歪めた」ならば問題です。この場合は責任を問えますし、問われるべきです。
二階幹事長はネットでは人気がありませんし、私も保守系の政策を掲げる一人としては政策的な距離は感じますけれども、組織運営の長としては誤りとは言い切れないと思います。それだけ親中派も、党内にいるということです。また、そもそも親中派などとは無関係に都議選を不安視する声も、ウイグル以上に会ったのは事実です。都議選を重視する声は、ウイグルを支援する声よりも、また親中派よりも遥かに大きなものであったと感じています。繰り返しになりますが、私も都議選の応援に実際に参加しています。

 さて、林代行が、都議選を念頭に置いた多数の国会議員からの要請に応える形で、“いまは時期ではない”とペンをとりあげたとしましょう。それは林さん側の責任ではなく、頼みに行っていないことが問題なのです。少なくとも党内ではそう扱われます。ググればいくらでも出てくるので書きませんが、こういう場所はお百度を踏むというか、特に林代行の場合は頼みに行った数で決まる(と言われていた。)というか、“どれだけ困っているか、ちゃんと言ったほうが勝ち”みたいな動き方をすると考えています。ちなみに私は林代行とは面識はありません。講演でちょろっと会ったぐらいです。けれども、自分の小選挙区の先生が二階派で、幹事長特別補佐という肩書をもっておりましたので、私の体感としてはこんな感じです。

 答えになりますが、ウイグルの国会決議については、林代行をはじめ幹事長室には「頼む」という調整依頼は、事実上、なかったと認識しております。少なくとも弱かった。組織内の綱引きにおいて負けた、と。

 これはペーパー一枚という話ではなく、なぜ通さねばならないのかとか必死さをアピールする場で、それを繰り返せば自民党の幹事長室は動くという、『そういう単なる機能』というのが私の実感です。意見が分かれた場合、または優先順位をつけねばならぬ場合、Aチーム・Bチームでスイッチをたくさん連打するゲームがあったとしましょう。たくさん押したほうが勝ちなのです。民主主義ですから。たくさんの人数が、何度も必死にアピールしたほうが勝ちなのです。そちらが優先されるのです、だって組織なのですから。一般的な組織論として「そういうもの」なのです。自分が正しいと思ったからと言って通るわけではありません。お百度を踏むのが重要です。馬鹿みたいに思うかもしれませんが、私たち地方議員だってそうしています。
 これは推進側の政治力が敗退したという状況に過ぎず、二階幹事長や林代行はある意味では公平なジャッジを下したとも言える。我々が負けたのは親中派ではない、都議選がそれだけ大きなウェイトと重みを持っていたというだけです。それを突破することが火力的にできていなかった。この部分はマイク(街頭演説)でも駄目で、またTwitterやフェイスブックやyoutubeでは駄目で、単に幹事長室に対する要請という形でしか効果を発揮しえないと思う。

 ここまで言うならば他の事例も出せと言われるかもしれませんが、地方選の公認争いでも幹事長室が出てくることはあり、例えば名護市の市長選や沖縄県知事選の候補者選定などですが、この折衝には沖縄の地方議員が大量に同行するわけで、現場レベルで「あそこは、こんな感じ」というのは地方議員同士の集合知として持っています。「んなもん知るかい!」とか「初めて知った」という声もありそうだし、もしくは「知らなかったから仕方ない」と(我々が問わずとも)責任を回避するような発言をしたい人もいるかもしれない。例えばTwitterにはTwitterの仕様がある、RTがありイイネがある。フェイスブックでもそうですし、youtubeでもチャンネル登録という機能がある。それぞれのSNSツールに使い方や仕様、またはグループのルールがあるようなもんで、この事例におけるルールはリアル側のルールが採られているというだけです。Twitterに「チャンネル登録の機能をつけろ」と言っても無理な話で、郷にいては郷に従えというだけです。

 都議選を気にするほうは、林代行に何度も頼みに行った、不安の声を伝えた。かたや決議を通したい側は、林代行に頼みに行っていないとすれば、これでは「協力されない」または「優先順位が下がる」もしくは「いまはタイミングではないという判断をされる」のは当たり前で、それは幹事長室の普通の対応です。誰が頼みに行ったのかは、私は分かりません。ただ、ここでいう“分かりません”は額面通りにはとらないでください。本当は知っていて、そして頼みに行った人を守るために黙っているのかもしれませんし、それが保守系で信頼を得ている先生だったりしたら、保守陣営が総崩れになるから“分からない”と書いているのかもしれないということは、行間にではなく本文として書いておきます。本当に調査力がある方は、調べればわかると思うのでこういう書き方にしておきます。ちなみに私自身にはそのような調査能力はございません。
 党内ルールに詳しい者からすれば、林代行の行為は批判には当たりません。これは難しいルールではなく、一般には周知されていなくとも、県議を2期~3期していれば知っているレベル、5期以上の議長経験者ならマストの知識でしょう。よって、ここで述べた党内ルートというのは、生粋の自民党市議らにとっては常識的なものであり、地方議員側の一般的な認識だと思います。そういう部門だと理解して地方議員をしているから、だから地方議員は上京し幹事長室に足を運んできたのですから。

 ではどうなったのかと言うと、公明党が反対したことになっているし、林代行においては落選活動まで実施され、ネットの玩具にされました。有本香さんの記事を事例として紹介しますが、幹事長室から通知文が届いたと本人が夕刊フジに書いております。

 

 

 

幹事長室の判断
ではどうなったのかと言うと、公明党が反対したことになっているし、林代行においては落選活動まで実施され、ネットの玩具にされました。これは有本香さんのことですが、幹事長室から通知文が届いたと本人が夕刊フジに書いております。本稿は、有本氏を責めるために執筆されているわけではなく、単に事実経過として触れていることは誤解する人はいないと思いますけれどもご承知おきください。

対中非難決議見送り問題 自民党幹事長室からの「通知書」 評価を「短絡的」というなら、改めて説明を求めたい

より一部を引用します。

>「自由民主党幹事長室(以下、幹事長室)」から「通知書」が届いた。通知書は、(河野太郎行政改革担当相が霞が関での廃止を決めた)FAXで送られてきた。多くの人の目に触れる可能性の高い手段で送られてきたことと、文章の内容に鑑み、ここに全容を明かし、同時に筆者から幹事長室への返信も、本コラムでの「公開」という形で行おうと決めた。

送られたのは、あくまで通知であり、何か議論しようとか言論フィールドに降りていこうという話ではありません。それにFAXで送ったからと言って公開して良いというルールにはなりません。私は有本さんが嫌いだから書いているのではなく、第三者的に政治の世界の人間として論評するよう努めて書きます。記事としては面白いのかもしれませんが、政治的にはこの通知は軽いものではありません。
またFAXだから他の方が見る可能性もあるということを理由に、公開で反論するというのは良い方法ではなかったかもしれません。私は本件に無関係です。第三者として事例を紹介し、公開の事実を論評しているだけです。これは当然、相手先も見るだろうし、その他多くの国会議員も見るでしょう、いまだwebに公開されているわけです。よって、これは私個人の私見とはさせて頂きますが、他の政治家も似たような印象は持つ可能性もございます。ネットの時代とは言え、なんでも公開でやるというのは、(私は受け入れられても)他の方は受け入れられないかもしれません。(ということも事例として述べておきます。)

>「通知書」が届いたのは、コラム掲載の翌18日の午後、FAX受信時刻は15時00分である。当該掲載紙が発売されておよそ24時間後の早業だ。同じ次元で比べてはいけないことは百も承知だが、対中非難決議が数カ月の時間を要しても決められなかったこととは雲泥の差である。

> 書面を受け取って一読した後、笑ってしまった。

ここまで即応するというのは、それなりに相手もお怒りなのであり、言論空間の応酬とかではありません。抗議文などとも性格は異なっており、民間の例えで言えば“裁判の判決文”みたいなもんだと言ったほうがいいと思います。

>まず、内容以前に、文書の体裁からして、大与党の幹事長室が出したとは信じられない代物だったからだ。ビジネス文書というものは体裁がものを言う。これは日本語に限らず英語でも同じで、体裁・書式が整っていないものは正式文書と見なされないことも多い。自民党幹事長室におかれては、市販の「ビジネス文書の書き方」という類の書籍の購入をおすすめする。

> 体裁の誤りは次の通り。(1)日付の位置が正しくない(2)発信者不明(=正しくは、自由民主党幹事長室の後に、発信の役職と氏名、必要に応じカッコ付きで担当者名を入れるのがルール)。筆者に返信するなという意図か(後略)

(地方議員としての論評、受け止め方)
 主語が幹事長室となっているのは、重たいのです。担当などおらず、機関決定として、党としてNOと言っていることと同義。担当が変わろうが、10年が経過しようが20年が経過しようが、いまの国会議員が全員天寿を迎えても、担当者の名前がない組織決定というのは決定のままなのです。通知は通知であり、あくまでお知らせです。要請もしていないし、抗議でもない。単なるお知らせ、です。「サヨナラ」と書いていると、そのように理解しております。党組織として全体的にNGをくらったようなもので、本件ウイグル国会決議に関して政治の現場を無視した言論があまりに横行してきたゆえに、党内には凄まじいストレスがあったと思います。耐えに耐えて、ついに“判断した”のがこの局面であったと認識しております。地方議員サイドの受け止めは、「あー、ついに来たか」と。

 これはたまたま有本さんだっただけで、国会議員側は誰が何を言ったとかは把握しておらず、もはや「保守の言論空間がなんかおかしい」とか「煽っているのがネットなのか、煽られているのがネットなのかは分からないが、なんとかしてくれ」という空気だったと記憶しております。だから本稿は有本さんへの侮辱でも吊し上げでもないし、ただ事例としてこうなってしまったし、この文書はここで終わりではなくて一生続くもんだろうと、地方議員であっても政治家はそう見ている、という事実のみです。

 当時のネットの言論空間を思い出してください。犯人探しみたいなことを続け、確証なきままに特定の議員を叩きました。一部は、誤射であることも徐々に分かってきました。リアルとは異なる言論が繰り返される中、自民党は随分と耐えたと思います。ついに「動いたなぁ」ぐらいの印象を持ちました。

 有本氏の夕刊フジの原稿を続けます。

>さて肝心の内容だが、筆者のコラム記事をなぞる文章の後、こう指摘している。
> 「林幹事長代理が『こういうの(ウイグル問題)、あんまり興味ないんだ』と発言した事実はありません」

 これが事実か否かは、実は誰も証明ができない。聴いたという方もいるのでしょう。ただ相手は否定もしています。そして、どちらの言っていることが事実であるかは、本通知の場合はあまり意味がない。この文書はもはや交渉を求める様式にはなっておりません。単に「言ってません」とのみ通知されています。

>幹事長室からの文書の結びにはこうある。
> 「また、貴殿自身も本件記事に書いてあるように、来月に迫った東京都議選で、いかに公明党と連携するかということも踏まえ、二幹二国で協議して対応を決めるものであり、林幹事長代理らが潰したとの貴殿の評価は短絡的と言わざるを得ません」

> この後、「以上」として文書は終わっている。筆者に「訂正を求める」とも何とも書かれていない。一体、何を目的とした文書なのか、真意をはかりかねる。これを見た複数の弁護士は「感想文でしょうか」と苦笑していた。

 私には最後通告に見えました。有本さんには事実ではないと通知のみを行い、もはや訂正すら求めていないのです。この文書がある以上は、地方議員サイドを含め、多くの国会議員事務所は彼女に対して機微情報を渡すことができなくなる可能性を示唆しています。場合によっては同氏と組んで発信した保守政策は、党からの援護が受けられない、つまり現実を変えられないという呪いのような効果を産む。異常に強い逆進性。私自身は虎ノ門ニュースも見るし、有本さんの言論も楽しく拝見させて頂いているけれども、こと政党人として接することを考えると、有本さんが関連した政策案件については(私たちが頼みにする)現実世界で有力な国会議員は逃げてしまう、降りてしまう可能性が高いというのは、意識しながら仕事をしなければならない。
 自民党と組んで動きたいと考えた全ての政治家・ロビイストは、大事な案件であればあるほど、絶対に改善しなければならない案件であればあるほど、同氏を外さざるを得ないということになる。その効果は、すでに出てくると思うし、これは負のスパイラルなのだろうけれども、本当の意味での現場情報は彼女には伝わりにくくなっていると思う。なぜ幹事長室がそこまで強いかと言えば、公認権を持っているからです。国会議員にとっては生殺与奪の権限であり、政権与党のヘッドクォーターです。政策の意思決定にも強い影響を与えるし、特に参議院全国比例などにおいては「(議員候補の)応援にまわってくれる支持母体」を回してくれるかもしれない部門なのです。政党人であれば、幹事長室からの意向というのは重視せざるを得ない。だからリアル側には多大な影響を及ぼします。

 ただ、何度も繰り返しますが、これは有本さんだけの責任ではありません。ネットとリアルの乖離について各種の事例を出しております。色んな様々なことがあり、風船を膨らませているときに、最後のワンプッシュの針を突き刺しただけであって、これらすべての責任をおっかぶれとは私は言っておりません。ただ単にこんなことがあった、こういう事例列になっている等の経緯を並べているのみです。また、これを読んでいる方も気を付けて欲しいのは、有本さんのもが政治家から放逐されたという意味で書いているわけではなく、媒体そのものであったり、より広い意味では『ネット世論そのものが距離をとられている証左』として受け止めるべきだと私は思っています。特に本件が重たいのは、政治家個人との関係ではなくて、「政党組織からの絶縁状」であり、担当者がいない以上は永劫に続くという部分です。交渉相手すらいないのだ。訂正などを求められないというのは、示談や手打ちに相当する和解の方法も模索されていないという意味で、完全なる絶縁を意味する。通知は通知であり、なんらの目的ももたない。仮に目的があるとすれば、サヨナラを伝える以上のものではない。

 

 

 

軌道修正を図ったメディア

 少し産経の話もしたい。
 正直、産経も当時は煽りまくりました。かなり、やりました。事実です。いちいちソースを並べてもいいのですが、それよりも皆様の記憶や体感を思い出してもらったほうが早いでしょう。

 いまの産経がどうなっているかといえば、当時、戦犯扱いされた林代行の名は消され、短く「都議選の影響も視野に」程度の触れ方にして軌道修正を図っています。私個人としては二階幹事長はイデオロギーや政策として好きではありませんでしたが、当職の小選挙区の衆議院議員である武田良太先生が二階派の要職にあったこともあり、また幹事長特別補佐という役職まで新設してもらって幹事長室の党務に励んでいたこともあり、(立場上、裏をとったとは言えませんが。←裏がとれてしまえる立場ゆえ、ここは言及すると大変なことになる)いま述べたことが真実であると述べてきました。
 つまり、都議選を前に公明党の不興を買いたくないと考えた自民党の国会議員が、林代行のもとに頼み込んだのが現実であろう、と。そして、本件国会決議を推進した議員らは、林代行も含め話を通していなかったというのが、残念ながら政治的な現実であろうと思います。サインしようとした二階幹事長のペンを、林代行が止めたことも事実だと思います。ただ、その現場にいた者が見た現実と、本当の政治的な事実は異なります。有する権限において、アクセスできる情報階層は変化するものであり、これは期数・所属派閥の力によって変化すると考えています。

 以上の理由により、昨年6月の国会決議が成立しなかった理由は、準備不足や調整不足、そもそも(通すべきであった参院の)公明党とは合議された形跡すらなかったことに加え、自民党の国会議員側(えらい人)が、都議選を前に勝手に取り下げを暗に願ったというのが実情であり、そのドラマが如実に表れたのが林代行によるペンの奪取であったと認識しております。結論から言えば、6月の国会決議においては、公明党による反対は、党としてはなかったと断じざるを得ません。また林代行の責任を問うこと事体が誤まっていると、一派論としても客観論としても述べさせて頂きます。さらに、党の指揮所である幹事長室からは、あそこは滅多に動くところではないと思いますけれども、強烈なダメだしを受けたというのが今の現実だと理解しております。

 

 

次項は「第二章・後編 骨抜きに修文したのは誰か」です。
実は、公明党の政調会長(当時)に会ってきました。様々な個所に対して実際に裏取りをかけています。

この”ネットとリアルの乖離”については、過去において完成済みの作品ではありました。
はっきり言いますが、「公明党のせいだけで骨抜きになった」というのは、断定することは危険だと感じています。
実際にお会いした中で、私の中でも「さらにここも触れねばならない」と思う部分がございました。

 

まぁ、はっきり言いますが、公明党の議席数を考えれば分かると思いますけれども、そこまで「絶大な影響力」を自民党に行使しうるのか?という観点から疑問もありました。事実として公明党側を振り回すレベルの自民党の国会議員もおりますし、私も知っています。

次に、この決議を「骨抜きにしまくるだけのメリット」が公明党側に果たしてあったのか、と。親中だからという理由だけで、それだけを党是としているわけでもないように思います。皆、好き放題に言います、様々な方がそれぞれの意見を持つことを私はなんら否定いたしません。けれども、それがさも事実かのように一人歩きすることはおかしいと思うし、誰かが検証せねばならないと思いました。

 

 

 

ウイグル応援グッズ

 

 

「公明党が悪い!」とか「公明党、真犯人説」は分かりやすいし、

 

バズるし、ぶっちゃけ売れます。金になる。

 

私は自民右派として政策上の距離感は大きくございますし、実態として公明党の政策と対立することも多い。

 

とは言え、公明党のみで「潰す」とか「骨抜きにする」だけの力もないと思っていました、現場の空気として。

 

仮に公明党側が暗躍した事例があったとしても、「あれも公明党、これも公明党」と騒ぎ、

 

結果として「何をやっても無駄」という風潮になることは、誰にとっても不幸なことだと考えます。

 

「こうだったんじゃないか?」「ああだったんじゃないか?」という想像までを否定する気はない。

 

だからこそ、「実際はどうだったのですか?」と本人に聞きに行く人がいても良いと思います。

 

大切な警鐘だと思った方は、拡散をお願いします。

 

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コメント (頂いたご意見は、他SNSに比較し最優先で目を通しております。)

  1. BLACK より:

    確かに、「ネットとリアルの乖離」だと思いました。
    小坪氏がこうして説明してくださるリアルの事実は私にとっては納得出来るものでした。
    自民党の内情も、林氏のお立場も、二階氏の在り方も
    「確かにそうであるのだろう」と素人庶民婆の私にも思えます。

    そうすると、ここには書かれていないことのリアルも見えて来る気がします。

    ネットが見せられている
    敢えて「見せられている」と書かせていただきます。
    「見えている」では不正確で
    「見せられている」が正確だと私は思うからです。

    ネットが見せられている景色と
    リアルが見ておられる景色は余りに違う
    それは何故なのでしょうか?
    何が、ネットの景色を歪めているのでしょうか。
    ひとつひとつの誤解の解消では無く
    根本原因がネット側に伝わらなければ
    「ネットとリアルの乖離」は解消しないように私には思えます。
    「ネットとリアルの乖離」を招いているのは、または創作しているのは
    一部のリアル側なのではないでしょうか。
    小坪氏の当ブログからは私にはそう読み取れますが
    それは私の読み間違いでしょうか。私の誤読でしょうか。
    私は知りたいです。
    「ネットとリアルの乖離」の本当の原因。本当の理由を。

    それがネット保守の失望や混乱を招いたとしても
    このままで良い筈が無いからです。
    私はそう思いました。

    後編を楽しみにしています。

    以上 文責 BLACK

    • BLACK より:

      >それがネット保守の失望や混乱を招いたとしても
      >このままで良い筈が無いからです。

      ネットの中での(見せられている世界での)正義感や義憤で国を想っても
      どんなに想っても、想ったつもりでも
      それがリアルで通じない正義感や義憤ならば

      どんなに善意でも
      どんなに愛国心でも
      無意味どころか有害になるからです。

      その有害は平時でしたら「困ったものだ」とリアル側に思われたり
      小坪氏にこうして説明していただいたりで、まだ済みますが
      ネットとリアルの乖離が一番起こってはいけない有事で起こったならば
      国の存亡にもかかわると思えるからです。
      ネットが一番働きたい時に、意図せずに逆方向に動いてしまう可能性があるからです。

      私が小坪氏に長年期待し、願っていますのは
      このように平時の小坪氏の説明能力やアクセルとブレーキでもありますが
      一番期待し、願っていますのは
      有事にネット保守を正確に指揮していただく
      有事の時の小坪氏のアクセルととブレーキに期待しているからです。

      以上 文責 BLACK

  2. 櫻盛居士 より:

    **********************************************************************
    共産党は2016年9月13日からの警告を無視し続けましたね。
    ならば、下記は決定事項と承諾したものと見做します。

     ・『テロを利用する共産党』
     ・『テロリストの味方である共産党』
     ・『テロに屈する共産党』

    **********************************************************************
     
     
    企業や町内会、PTA等に属した事のある、或いは参加した事のある人であるならば、当然組織には組織内政治があり、その組織内政治によって動いて居る事は知って居るでしょうから、それらに当てはめれば、本エントリーは多くの人が理解出来るのではないでしょうか。

    掲題にウイグル国会決議とある様に、今回混乱が生じたのはウイグルに関わる事柄です。
    ですが、ウイグルは日本の主権の及ぶ、日本の領土ではありません。

    ”今はまだ”と前置きはして置きますが、日本にとってはウイグルの悲惨な状況も、実際問題として他人事と捉える事が可能な状況です。
    日本国内の政治家にとってみれば、日本国内の政治こそが第一優先事項であり、他国の事などは、優先順位としては低くなるのは当然と言えるでしょう。
    将来的には、どっちに転ぶかも知れませんが。

    更に他国に於ける人権問題に対して口を挟む行為は、ある種の内政干渉にあたる場合もあります。
    国際舞台に於ける人道的介入も、実態としては合法説と違法説が入り乱れて居り、合法性や妥当性について議論が絶えない代物だったりします。
    そもそも、国際法自体が一種の紳士協定であって、違反した際の罰則や、強制的に裁く権限を有する者が存在しないのです。
    故に人道的介入は、介入者の都合によって行われる性質を帯びて居るのが現実なのです。
    ロシアによるウクライナ侵略も、建前は人道的介入でした。

    そもそもですが、ウイグルの問題はウイグル人がウイグル政府を設立し、ウイグル人が独立戦争を展開して自由を勝取るべきものです。
    こう書くと戦争推進論者や人で無しの様に思えるでしょうが、戦争には反対であっても、実際問題として歴史的に沿って述べるなら、独立戦争を展開しないと、ウイグル人によるウイグルと言う国は得られないと、悲しいかな考えざるを得ません。

    これらを踏まえて本文を読めば、ネット世論とリアルの乖離が発生したプロセスは理解し易いでしょう。

    一方で、ネット世論とリアルの乖離が発生した要因に目を向ければ、自民党の党としての広報力の弱さが露呈したと捉える事も出来るでしょう。

    民間の売買契約にはクーリングオフ制度が伴いますが、この制度は古来からの制度では無く、1970年代頃に当時の社会問題に対処する為に設けられた制度です。
    それまでは契約書に記載さえしておけば、どんな理由であっても「契約書に書いてあるだろ」で、売り逃げが可能でした。

    クーリングオフ制度が導入されてから次第にその存在も世間に浸透し、売り手は契約の際に内容を長々と説明をする時代に至ってます。
    最近は携帯電話の契約や機種変更時など、解り切った事を聞かされますよね。
    つまり、そう言う決まりだとか、書いてあるとかでは不十分で、確実に伝え理解を得て、初めて契約に同意したと見做される風潮に成って来た訳です。

    これが政治分野では、その風潮に追いついて居無いのが、この騒動の一因でしょう。
    追いついて居るのは、小坪先生位と言っても過言ではないでしょう。

    余談ですが、おパヨク様の世論創りは、この政治分野の弱点を突いて、広報活動をしっかり行う事で実行されて居ます。

    これらを鑑みれば、責任論だけで語ると同様の事象が今後も発生するでしょうし、それは互いにメリットが無いと断言出来ます。

    従って、ここは自民党も一般人向けのアプローチ方法を模索する良い機会になったと捉えて、拒絶反応だけで終わらせるのでは無く、広報手段を善処した方が得策なのではないでしょうか。

  3. ロード より:

    林幹雄先生、誹謗中傷してしまい申し訳ありませんでした。
    有本さんの該当記事は読んでおり、衝撃的なフレーズを覚えています。
    それが先生方とネット世論の離間工作だったとは。
    そして保守の政策を通りにくくしていたとは。。。己の愚かさが嫌になります。
    小坪市議の論評は実にわかりやすく、その通りだと思います。
    敵国の離間の計にひっかからないよう、過激な発言には気をつけたいと思います。

  4. azumaebisu より:

     武田良太代議士ねぇ…

    小坪市議の【親分格】と当方では見ておりましたが…

     今回の主題からは脱線しますが一言申し上げます。
    小坪慎也市議は、変わらず信頼しておりますが…

     昨日のBSフジ【プライムニュース】を見ておりましたら、【日韓議員連盟幹事長?(記憶が定かでは有りません。誤っていたらご容赦ください。)】の肩書きで出ておられました。

     その発言は、私にとっては『聴くに耐えない媚特亜側、就中媚韓派で、とても此方側(日本人側)の味方では有りませんでしたね。 
    曰く…

    ・今の韓國は信頼出来る。特に【保守政権】なのだから、関係改善すべきだ。

    ・小淵政権時代の【良き?日韓関係】に戻すべきだ、又、戻せる。

    ・我々日本人は韓國を信頼しよう。隣國なのだから=(引越し出来ない)のだから。

    ・ゴールポストをずらす【韓國の不実】には目をつぶれ。

    ・韓國側の敵対行為は言語道断である。然し【このレーダー照射問題】、安全保障の観点から、その他の政治的いざこざと混同しない事が肝要。北朝鮮の核の脅威が有るのだから【安全保障上の日韓信頼関係】にひびを入れるな!

     聴いていて、『未だに、こんな妄言を言い散らかしている議員が居るのか?…』と呆れ、余りに不愉快で何度も見るのを止めようか?と思いましたが…最後の視聴者のコメントを聴く為に、最後迄我慢しました。それらも『信用出来ない』ばかりとの印象を受けました。

     武田良太代議士の発言、私は悉く反対で、【理想的な日韓関係】と言う物が有るとするなら、それは【日韓国交断絶】状態であると強く思います。

     何度も何度も【我國を騙して、足を引っ張り、蔑んで、困ると擦り寄る詐欺師の巧言令色】を嫌と言う程やられて来たこの100年、未だこんな妄言を言い散らかすのか?【福沢諭吉翁の発言の正しさ→こんな碌でなしの悪友とは断絶すべきである。】を嫌と言う程味わされてこの様かよ…

    『彼奴等の【日頃の行い】を見れば、決して信用してはならない連中である。』

     背後から撃つ連中(→レーダー照射犯罪)を、如何『信用せよ』と言うのか?武田良太代議士は、気が狂っているのでは無いか?『背後から撃たれる自衛隊員を、見殺しにするつもりなのか⁈』

     そう言う疑問を持たざる負えない…とても信用出来ない要注意人物だと、私の心に刻みつけられました…

     そう言う意味で、貴重な機会になりました。

     脱線して失礼しました。

    小坪市議、ゴメンなさい。然しこれが【偽らざる感想】です。今でも不愉快で眠れません…

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