【驚き】小坪慎也提出の決議案に、共産党が賛成討論。職員不正採用問題について、一つの結論

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行橋市議会における市長と議会の対立は、当市市民のみならず県内各所でも有名になってきました。本日は18件もの人事案が市長より提案されましたが、うち6件が賛成少数。1/3の人事がコケるという状況になりました。3月議会の当初予算の否決を受け、骨格予算となっておりましたが、肉付けの意味での補正予算が通過。ただし議会から修正案が提出され、減額修正されてのものです。
人事の内訳は、監査(議選)や農業委員などです。当市は条例上は、副市長2名体制でありますが、副市長の辞職および任期切れで現在は0名。特別職としては教育長のみとなっています。監査も不在という状況でしたが、本日、賛成少数で否決。

私は、決議第2号「信頼回復のため職員採用試験の制度改善を求める決議(案)」を提出者として提案し、提案理由を議場で述べました。その要旨を記します。

 職員採用試験においては、長らく様々な議論があり過程においては市長側にも責められるべき点もあり、当議会は市長を刑事告発するに至っております。
 その上で、当時の幹部職員に対しては警察の判断・司法の判断がくだされており、不正の有無について『あった』ということが市民含めて一定の理解となっております。
 ついては、最優先されるべきは、市民からの信頼回復であり、議会としての意思表示をするために本決議案を提出するものです。”

議場において提出者として上記の理由を述べたところ、賛成多数で可決されました。驚くべきことに、日本共産党の徳永克子議員が賛成討論を行いました。私とは長年のライバル関係であり、徳永氏が私の決議案に対して賛成討論を行って賛同に周るというのは個人的にも衝撃でした。

本6月定例会において、当市議会は市長を刑事告発。また三月議会においては当初予算を否決。私は市民への影響が大きいとして、(現市長とは対峙する立場であれども)予算に対して賛成討論。本6月定例会においては、当初予算の否決を受け、骨格予算となったことで市民生活に影響を与える事業を具体的に問うておりました。

本日、骨格予算を肉付けする形での補正予算の採決。議会は、修正案をもって一部の予算をカット。予算の減額は何がしかの形で市民に影響を及ぼすものではありますが、これは具体的な事業(福祉サービスや工事など)そのものではないため賛成の立場で討論を行いました。

では、実際の動画、および決議文をご覧ください。
また現在の当市の状況を私なりに分析しております。報道よりもよっぽど詳しいと思います。

 

 

 

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決議第2号・信頼回復のため職員採用試験の制度改善を求める決議

信頼回復のため職員採用試験の制度改善を求める決議(案)

 

 令和2年度職員採用試験において当市幹部職員から2次試験の集団討論課題の内容が受験者に漏洩し、地方公務員法違反(地方公務員法第18条の3)により書類送検され、のち行橋簡易裁判所より略式命令が出されました。
 市民に与えた衝撃は大きく、行政組織としての信頼が大きく揺らいでしまったことは残念でなりません。ついては、信頼回復に資する採用試験の抜本的な改善を求めます。
以上、決議する。

令和5年6月6日

行 橋 市 議 会

 

非常に短い決議文です。

こういうのは「短く簡略に、かつ事実だけを記す」のがポイントで、短ければ短いほどに技巧が問われます。一発で書き上げ、そしていずれの議員からも字句修正の要請などもなく、そのまま議案として上程されました。

(採決状況)
恐らく、二度とないであろう徳永議員による賛成討論。(個々の議員が賛成して頂くことは、非常に有り難く思っております。有り難いとは、有ることが難しいゆえありがたいと書きます。)

 

 

 

現市長と議会が対立している理由

不正採用の有無、それに関連しての市長の”個人情報の流出疑惑”等。
現市長である工藤氏は元々は行橋市議であり、職員採用試験に対して不正疑惑を指摘し続けておりました。その結果として市長選を制したわけでありますが、市長就任後において職員採用に関する個人情報を流出させたとして、議会で問題になりました。

余談になりますが、個人情報を流出させた相手とは、警察です。

 

現市長である工藤氏は、市議時代には野党系に属しておりました。前市長の田中氏を舌鋒鋭く攻撃しており、結果として共産党市議と共闘する恰好になることも多々見受けられました。実際に市長選においては大型公共事業の廃止、また国県からの補助を受けて完成した図書館を攻撃するなどしておりました。

ちなみに、全国的に見て「図書館の建設が問題とされる自治体」はあまり聴いたことがありません。最新型の図書館ですが、高い高いという攻撃だったと思うんですけれども、近隣自治体からは羨む声もございます。迷惑施設を作ったわけでもなく、やがては耐用年数の来る公共施設の建て替え、しかも図書館が攻撃材料になったことは今でも不思議です。

さて、その工藤市議を含む野党系からの、当時の市長の攻撃。その一つが「職員採用における不正疑惑」だったわけです。これは、市議としては工藤市議が最も追及した一人だったと記憶しております。

果たして行橋市長選、公共事業を廃止(のち、本当にサービスエリアの事業が中止)を掲げた工藤候補が当選するわけです。

そして、市長として「職員採用試験問題の不正」を明るみにしようと試みたのでしょう。
工藤市長は、警察への情報提供と主張。
議会側はこれを個人情報の流出だと追及。

 

え?と思う方もいるかもしれませんが、個人情報の流出という指摘も妥当性はあるのです。

合格者のみならず(受けただけの)受験者の情報も含まれていたとされ、私はこのことも問題だと思います。例えば北九州やお隣の苅田町の方が行橋市の職員採用試験を受験したとして、受けただけなのにその情報が市長の手により外部に流出する・・・。

(私ではありませんが)追及姿勢を示した議会側は、警察への批判も強めておりました。礼状など含め、捜査手法としては問題もあったというものです。

これに対し工藤市長は、警察への捜査協力という部分を主張していたものです。

 

ここまではできるだけフラットに書いておりますが、反応は二種ありました。
議会の追及を支援する者と、やり過ぎだという者です。

他県の首長などからは、同じ行政組織であるわけだから、そのあたりは臨機応変に対応することも考えられるのではないか?という声。また行橋市民からは、個人情報の最終的な責任者であるはずの市長がなんということを!という声。併せて「本当に不正もありそうだ」という疑いの声も事実としてありましたし、追及している側にも後ろ暗い部分はないのか?という厳しい声もありました。

 

この対立は泥沼化していき、ついには当初予算の否決となったのが3月議会。
年度内実施という意味では影響がないと強弁する者もおりますが、少なくとも3ヶ月のブランクは空くわけで、供用開始の遅延という意味での影響はでます。

当初予算から骨格予算とする際に26憶もの予算を削ったわけですが、この予算は市民生活向けに提供されるメニューであり、影響がゼロとなるはずはないというのが私の立場です。影響の有無、その大小については議員個々の考えもあるでしょうし、市民それぞれに考えて頂ければと思います。

この激突の結果、各種の人事にも影響を及ぼしていたというのが私の認識です。

 

ついには議会は、市長を刑事告発するに至ります。

課程においては、行橋議会での行橋警察署への批判もなされておりました。
(余談になりますが、私は本件に関しては静観の構えでした。)

が、その直前に事態は大きく動きます。

 

警察が、当時の幹部職員を書類送検したのです。
これにも諸説あり、市民の反応としては議会が警察を刺激し過ぎた結果ではないか?というものもありました。もしくは、本当に不正があり警察は以前からマークしていたという噂もありました。

私はどちらにも与するものではなく、採用に問題があったことを議会人として事実として認識はするものの、報道されるほどの状況、恐ろしいまでの闇があったという立場でもないのです。試験の流出は大きな問題ではありますが、一次試験の試験問題が漏れた等ではありません。これはマーク式で全国一律、行橋市では漏洩はできません。(ちなみに、こんなことが起きたら全国を揺るがす大ニュースだったでしょう。)

報道は、どうも一次試験の試験問題そのものみたいな触れ方なのですが、実際に漏洩したのは二次試験の「テーマ」です。ようはグループディスカッションみたいなやつで、討議のテーマが何になるか等。こちらを軽視するつもりはありませんが、試験問題そのものが流れたと錯覚していた方からすると肩透かしを受けたような印象もあったようです。

討議のテーマが知れたとして、受験者は幾分は有利になるでしょうけれども(ゆえに当然ながら許されるものでもない。)ドラマなどのカンペとか、事前に試験問題そのものが分かったほどの直接的な効果もないわけです。

よって報道の仕方には幾分の「過激な見出し」も踊ったという印象をもっておりますが、その上で警察は動いたというのが事実です。また司法の判断も下されました。

ゆえに、目の前にある現実は「不正採用はあった」のみであり、ここからすべきことは一つだと考えました。

 

 

 

議会としての意思表示、その必要性

六月定例会の初日において、行橋市議会は議会手続きをもって市長を刑事告発しました。
告発に関する議案は二つあり、私は一つには賛成、もう一つには反対しました。

片方の告発には虚偽の陳述を現市長がしたという標題があり、これは真実性・真実相当性の観点から問題がある内容であり、名誉毀損となるリスクを指摘した上で、議会で諮るべきではないと主張して反対にまわりました。

 

告発するかしないかでピリピリした議会の空気の中、私は本日と同様の決議を動議で提出を試みたのですが、不発。ここは調整不足でもあるのですが、あの状況下では致し方ないでしょう。

ゆえに公式の手続きに載せたというのが本日の決議です。

 

なぜ必要だと思ったのか。

市長側に問題があるにせよ、議会が市長を告発するのであれば、
つまり追及を行うのであれば、まずは「すでに明らかとなった不正採用問題」を真摯に受け止め、議会として意思表示を行うべきという考えです。

つまり、採用を司る行政権に対し、立法権の意志として「信頼回復を求める」こと、および「抜本的な制度改善」を要請することに他なりませんでした。

 

本来ならば、これは告発という市長批判と同日においてなされねばならなかったと考えております。
また告発に先駆けてなすべき手法であったというのが私の考えです。

 

 

 

簡単なことではない。

議会の多数は、本日において修正案が可決したことからも明らかなように、現市長に対しては攻撃的なスタンスです。
市民の一部からは政局と認識されていることは、現実です。

私自身も前市長をお支えした立場ゆえ、現市長には対峙するスタンスでありますが、【信頼回復のため職員採用試験の制度改善を求める決議】は簡単なものではないわけです。

 

これを議会自らが出すことにより、議会側は不正採用問題に議員は介入していないとして身の潔白を示すことができます。逆にこれをやらずに市長攻撃と認識されれば、市民からは議会も後ろ暗いのではないか?と疑念をもたれてしまいます。

だからこそ、前市長の与党として、私は決議を提出したかった。

 

しかし、現市長が市議時代に追及してきた「不正採用があった」と議会が公式に認めることは、現市長への攻撃を鈍化させる効果も生む。すでに幹部職員の書類送検後は、市民からは「不正はあったわけじゃないか、工藤市長は正しかったわけだろう?」という、追及側に対する冷たい目もあったわけです。

となると、こんな決議は誰も出したくないわけです。
少なくとも私には、そういう心理的なハードルはありました。プレッシャーもありました。

けれども「やる」となれば、俺が俺がとなるような気もしていました。
凄くセンシティブなものであり、この決議が正面突破で可決したことは簡単なことだとは思って欲しくありません。

だから文案はごく短く、簡素に。
誰もが否定できない、字句修正の必要性が一切ない、異論の余地がないだけの文案。
議会事務局の手を経ず、独力で文案を完成させるだけのスキル。

 

本決議に反対した議員の心情は分かりませんけれども、この決議は全会一致ではありませんでした。着席していた議員もおりました。

各議員の考えは分からないとは述べましたが、難しい状況だったこと、難易度の高い決議であったと、少なくとも私は考えています。

そうそう、こんな決議を出したり、また自らの主観を述べることで、私は議会において「孤立」すると覚悟しております。そして本当に孤立する風潮になるのであれば、私は、私の目線で、その反応をBlog等にまとめるでしょう。

 

 

 

市長はレームダック状態

補正予算も議会により修正。

18本もの人事案件が提案されたされたのですが、その1/3が賛同を得ることはできませんでした。人事の1/3がコケるというのは異常なことで、この部分は国県も注目せざるを得ません。

仮に国や県から大型事業の予算をつけたとしても、議会の同意を得られずにポシャる可能性があるためです。あまり行橋市長の言うことをまともに聞く、国の官僚や県職員はいないでしょう。一つの事業を練り上げるにあたっては長いものでは数年がかり。それが一発アウトで潰れるとなれば、組みたいとは普通は思いません。

 

そもそも現市長は今川PA事業を中止に追い込んでいます。前市長の肝入り政策だったとは言え、あれは国県も絡むネクスコの事業です。博多から大分に向かうにあたっては、トラックが休憩できるだけの大型PAが福岡市近郊にしかなく、安全対策の観点からも行橋市のPAを大型化するというものでした。

物産も含め大いに期待され、ある意味では外れるわけもない収益事業でもありました。
本来ならば完成していてもおかしくなかったのですが、前市長の政権下で起きたことはコロナの猛威。ほとんどの大型事業を解体し、市民生活を守るために補助メニューに切り換えたのです。

この事業は、行橋市の市職員も必死に準備していたのでありますが、高速道路が関連するため市のみではできません。県内でありますから、福岡県とも密接に連動していたのでありましょう。

そのようなわけで、市長の動きそのものが、すでに国・県に不信感を与えていることも事実だと思いますけれども
(私は国交大臣室において、国交大臣に本人に上記PA計画の頓挫を報告した市議なので、事実です。)

人事がこれだけコケるというのも、行橋市としてはダメージになってしまうわけです。

 

よって、対・国県という意味では、人事の1/3がコケるというのは相当なダメージ。
しかも副市長は1名も選任できないという有り様であり、議会を通過させる力をもたない首長には、誰も予算を渡しません。なぜなら無駄になるからです。

結果、実は一番損をするのは行橋市の市民だと思っています。
それを良いとか悪いとか言っているのではなく、私はそのように認識しております。

 

 

 

それでも補正予算は通った。

当初予算が否決され、骨格予算となっておりました。
これは26憶も減額した予算であり、市民生活には影響を及ぼしたというのが私の主張です。逆にこれだけ削って影響がないという政治家はいないでしょう。

骨格予算に肉付けする、補正予算は通過しました。

 

補正予算に対しては、修正案が議会から提出。
一部の予算が削減されました。

私は修正案に対して、ごく短く賛成討論を行いました。
趣旨としては「当初予算の単純否決、結果としての骨格予算にまで減額することに比すれば市民への影響は限定的だ。修正案の提出者の提出理由によれば、福祉メニューや安全対策工事などの直接的なものではなく、調査費などの予算である。市長側の提出方法に問題があるという議会の指摘には理が通っており、三月議会の賛成討論および付随する一般質問と差異を示す意味でも、本修正案に賛成する。」という趣旨を述べました。

 

痛み分け、という言葉が適切なのかは分かりませんが、
議会側も修正という形で面子を保ち、執行部側もとりあえずは補正予算が通過した、と。

私は、そのことを、すこしほっとした目で見ています。
市民生活への影響を主題として私は動きました、かなり激しく抜刀したと思う。

あの時、私がああいう形で動いていなければ、補正予算だって単純否決という流れになっていた可能性は否定できない。政治にたらればはないけれども、「単純否決は、市民からの批判」につながることを公然と示し、実際に市民が声をあげるようになるには、礎となる議事録が必要なわけであり、あそこで身体を張ったこと、市民を思って動いたことには誇りを持っている。

 

とはいえ、私は現市長に過半数の議席を獲得させようとか、そんなサービスを提供する義務はないのだから、ようは「市民生活」を鑑みれば、とりあえず(修正されたとはいえ)補正予算が通過したことを喜びたい。

 

そして、議会の名誉にかけ、絶対に通すべき決議を提出できたことを、ただ誇りに思うのです。

 

(本日は車椅子で議場に。)

 

※ なんで松葉杖と車椅子の二つが写っているの?という疑問に対しての回答。

 

 

本日は、少し多めに眠りたい。

 

 

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コメント (頂いたご意見は、他SNSに比較し最優先で目を通しております。)

  1. BLACK より:

    議場スタッフの手を煩わせずに自分で出来る限りのことをと、
    議席変更の手続をとられ車椅子での議会。
    移動の松葉杖も、起立・着席もまだまだお辛い状態かと案じます。

    小坪しんや議員提出の、職員採用試験の制度改善を求める決議の可決、おめでとうございます。
    小坪氏の孤立の覚悟はいかばかりであったかと推察します。
    (もちろん、それを怖れぬ小坪氏であることは重々承知しておりますが)
    徳永議員の賛成討論に、徳永議員の議会人としての矜持を感じました。

    いつも変わらぬ、小坪氏の姿勢とお心が
    市長氏、議員の先生、市民有権者のみなさまに伝わることを願っています。
    そしてそれが市民のみなさまの、日々の暮らしの向上と行橋市の発展となることを信じ願っています。

    前途多難ではありましょうけれども、市政の前進をお祝い申し上げます。

    以上 文責 BLACK

  2. azumaebisu より:

     小坪市議は、そんなに軽率では無いと思いますが…

     共産党【徳永克子市議】の小坪市議への賛成演説…

    これは、【諸刃の剣】になる危険性が有ります。

     先方が勝手に応援!…であっても…『共産党が応援?!とんでも無い奴だ!!どこのどいつだ?!!小坪?!もう応援しない!!!!』となる危険性は、無いとは言えません…

     【関西圏の維新旋風】が、その証拠に思えます…【大阪自民への大阪市民・同府民のかなり根深い怒りの一つ】に、『貧すれば鈍して、共産党と組んだ!』これが怒りの決定的な根になってしまった様に、関東からは見えます。

     小坪市議、ユメユメお気を付け下さい…

  3. ロード より:

    補正予算が通過して良かったですね。
    それにしても市長はレームダック以下ではないですか?
    市民のためを思ったら決断は早い方が良いと思いますが・・・。

  4. カルライン より:

    なんか「麻生政権→鳩山政権」に似たような雰囲気…

    近隣市町村との生存競争で、北九州市から「ヒト・モノ・カネ」を行橋市に引っ張ってくるための投資は大事だと思うんだけど…「全ての公共工事は悪」みたいな刷り込みがまだまだ残ってそう。

    あと全国的に「悪夢の民主党政権の記憶が薄れてきた」のかも…

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